オイル基本知識



エンジンオイル編

エンジンオイル入門 エンジンオイル管理
オイルフィルター
オイルフィルターとは、別名オイルエレメントとも呼ばれ、4ストロークガソリンエンジンやディーゼルエンジンに備えられたオイルのろ過装置です。

エンジンオイルにはエンジン内部を清浄に保つ為にオイル中に汚れやゴミを取り込む役割(清浄分散作用)がありますが、そのオイルを浄化するためのろ過装置としてオイルの循環経路にオイルフィルターが設けられています。現在ではほとんどの自動車やオートバイのエンジンにオイルフィルターが装備されているのが一般的ですが、設計年代の古いエンジンや簡素な設計のエンジンではオイルフィルターがなく、より簡単な金網状のオイルストレーナーが付いているだけというものもあります。

オイルフィルターがあると、エンジンオイルがそこを通過することにより、オイル内に取り込まれていた金属粉やスラッジ(ホコリや燃焼カスなどの不純物)が濾し取られる。特に金属粉は、放置すると研磨剤と同様の効果をエンジン内に及ぼしてエンジン損傷の原因になる為、その除去は重要です。だが、オイルフィルターのろ過能力は上げ過ぎると油圧上昇や目詰まりなどの不具合を引き起こす可能性がある為にその性能はある程度のところで抑えられており、オイルフィルターで全ての金属粉やスラッジ等が除去できる訳ではありません。

多くのエンジンでは、オイルフィルターのろ過能力が低下し目詰まりを起こした場合やオイルの粘度の高い始動時を想定してバイパス機構(リリーフバルブ)をフィルター内部もしくはエンジン側に備えています。フィルターが目詰まりしてエンジン内各所にオイルが供給できなくなると、エンジンが焼き付く原因となるからです。これを防止する為に、フィルターが目詰まり等を起こし流量を確保出来ない場合にはフィルターをバイパスし流量を確保します。また始動時はオイルの粘度が高く抵抗が大きいため同じようにリリーフバルブが開き流量を確保するようになっています。この機構はフィルターにかかる油圧そのもので動作するわけではなく、フィルター前後の圧力差で作動しています。つまり濾紙部分の圧損が一定の値より大きくなるとリリーフバルブが開き圧を逃がすようになっています。そのためリリーフバルブの作動圧は油圧に比べ低く設定されています。この機構はあくまで一時的なものであり、フィルターが目詰まりする前に定期的に交換するのが原則です。

オイルフィルターの交換
自動車の場合、通常はオイル交換2回の内1回のオイルフィルター交換が推奨されています。車種・メーカーにより、オイル交換と同時に毎回行うことが推奨されている場合もあります。フィルターを交換した場合は、フィルター内部に含まれていた分のオイル量が不足するため、フィルターのサイズに応じてオイル交換のみの場合より余分(0.2から0.5リットル程度)にオイルを充填する必要があります。なお、自動車の取扱説明書に記載されているオイル充填量は、フィルターとオイルを共に交換する時の量を示している場合が多いです。

近年、フィルターユニット全体を交換するカートリッジ式に対して、環境負荷低減のために外殻を再利用しフィルターのみを交換するフィルター交換式エンジンが増えています。現在では欧州車では交換式が主流となっており、国産車でもトヨタ、日産の新開発のエンジンに関してはこの方式を採用する例が増えています。

▲このページのトップへ移動します