オイル基本知識



エンジンオイル編

エンジンオイル入門 エンジンオイル管理
粘度による分類:SAE
SAE粘度は、潤滑油の粘度を定めた規格です。数字が小さいほど常温で柔らかく、大きくなるほど硬いオイルになります。
一般にSAE粘度やSAE粘度分類とは、SAE J300またはJ306で規定された粘度や分類を指しています。 SAE J300はエンジンオイルの粘度、J306はギアオイルの粘度を規定する規格です。 適宜改訂され現在最新のものはJ300は2009年1月に発行されたものとなります。

自動車のエンジンオイル、オートバイ用オイルに見られるSAE規格の表示は、10W-30といったマルチグレード表示が一般的です。Wは「Winter」の頭文字で、前半で低温時の粘度を示し、ハイフン後の数字で高温時の粘度を表しています。寒冷地では5Wや0Wといったグレードを選ぶことで、クランキングをより容易にし、ハイフン後の数字が大きいものは、モータースポーツなどの過酷な条件下にも耐えうるオイルになります。

同グレード表記の製品同士が同じ性質であると理解するのは誤りで、実際の性質は製品ごとに異なっています。グレードの数字に表れない様々な性質が存在するため、「10W-40」と表記された高出力車のスポーツ走行に適するように開発された製品を、低出力の車両に使用するとその製品の持つ長所を発揮できないどころか、エンジンに対して負担をかけることになり、予想外のトラブルに遭遇することもあります。したがって、オイルの製品を選ぶ際は、SAE粘度のグレード表示を見るだけでなく、その製品がどのような用途を想定して作られているかという視点を持つのが適切です。

以前は粘度を示すだけのモノグレード(たとえば「30」や「20W」と表記)のオイルも流通していましたが、現在では温度などが一定の環境下で使用される産業用エンジンや、特定の条件におけるレース車両のエンジンなど、また、ラッシュアジャスターが摩耗した際にバルブクリアランスを保持する一時しのぎの救済策にしか用いられなくなっています。モノグレード以外にも20W-40などといったショートレンジマルチグレードオイルもメーカー純正を含め流通していましたが、現在では2輪用に存在する程度で4輪では殆ど用いられていません。

ギアオイルにはエンジンオイルよりも大きな数字が当てられていますが、これは分類方法が異なる為で表記粘度による単純比較はできません。前述のようにエンジンオイルがJ300、ギアオイルはJ306で規定されています。エンジンオイルの分類に比べ、各グレードの動粘度の幅が広く、特にSAE90以上の分類は広いです。例えば75W-90のギアオイルは、分類上はエンジンオイルのxW-40から×W-60に相当しています。これはあくまで分類上の話であり、実際に流通している75W-90は10W-40に相当するものが多いです。

エンジンオイルは粘度によってその用途や使用環境が異なり、基本的にはメーカー推奨の粘度に従って選定する必要があります。

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