ディーゼルエンジンのオイルは、燃料の軽油に硫黄分が多く含まれることから、ガソリンエンジンと比べて過酷な環境下で使用されることになります。オイルの色は交換後でもすぐに黒くなり、透明度や色で交換時期を判断しにくいため走行距離(稼働時間)で管理することが望ましいです。実際国産メーカーのディーゼル車のオイル交換推奨距離は5,000km程度(トヨタ車)でガソリン車より圧倒的に早く、これを見てもディーゼルオイルの汚れやすさがわかります。ガソリン車用の化学合成油配合油にはディーゼル車共用のオイルも存在していますが、これはディーゼル車用エンジンオイルに必須となるススを分解させる清浄分散剤の配合量と軽油に含まれる硫黄分などの酸化物質を中和する中和剤、オイルの酸化を防止する酸化防止剤などが鉱物油より化学合成油系には多く含まれているためです。しかし、ディーゼル専用として作られたオイルに比べるとそれでも添加量は不足しており、結果として価格の低いディーゼル車専用鉱物油が、価格の高い共用100%化学合成油よりもディーゼルエンジンオイルとしては規格が上であることが多いです。また、DPF装着車は排気ガス中に含まれるオイル粒子を触媒内に蓄積してしまうため、これが排気熱により過熱することによって触媒劣化が異常進行し触媒寿命を縮めてしまいます。従ってDPF装着車の場合はこの問題に対策をとったオイルに与えられる日本技術会の規格であるDH-2規格のオイルを使用することが望ましいです。API規格のCF-4規格と対応しているものと対応していないものがあります。さらに新しい規格であるDL-1が存在し、既存のCF系規格 (CF/CF-4) やDH規格 (DH-1/DH-2) との互換性はないです。DL-1規格が指定されている車両にそれ以外のオイルを使用し続けると、格段にDPFの寿命を縮める結果を招きます。車両に付属している取扱説明書をよく確認する必要があります。日常的なメンテナンスの一部であるエンジンオイルの交換については、ある程度ユーザー側の責任が求められる部分もあります。
ディーゼル車が走行距離の多い長距離トラックなど営業車等に使われる場合が多く、オイルの交換頻度は車両の維持費、多忙な運転時間を割いての交換作業、台数が多ければ会社の経営にすら影響を与える問題となります。このため、化学合成油をベースオイルにし、ススの分散性、耐磨耗性を強力な添加剤で補ったロングドレンオイルも造られています。これらの中では、高速道路での走行を主体とした路線トラックに使うことを前提に10万kmの走行を可能と謳う商品も現れています。 |