オイル基本知識



エンジンオイル編

エンジンオイル入門 エンジンオイル管理
エンジンオイル交換:乗用車
自動車の場合、一般的にオイル交換時期は、オイルの性能低下や量の減少を考慮し、自動車メーカーによって走行距離や使用期間が指定されています。オイルの劣化を直接判断することは難しく、この基準は自動車においてほぼ共通したものとなっています。また、センサーによりオイルの状況を感知、またはエンジンの稼働時間などによってオイル交換の時期を指示する車両もあります。

  • 【自然吸気エンジン】(直噴エンジン・ロータリーエンジンを除く)
    ◆交換後走行距離10,000から15,000km
    ◆交換後1年
    上記の内、どちらかに達した時点で交換

  • 【過給機(ターボ・スーパーチャージャーなど)付きエンジン】
    ◆交換後走行距離5,000km
    ◆交換後半年
    上記の内、どちらかに達した時点で交換

シビアコンディションで使われた車の場合は概ねこの半分の期間での交換が指定されています。シビアコンディションの定義は、自動車メーカーにより多少の差異はありますが概ね、以下の様に定義しています。

  • 一回の走行距離が、7.0km以下の繰り返しの場合(所謂、チョイノリ)。
  • 登坂路等の高回転・高トルクを必要とする走行。
  • 未舗装路等の粉塵の多い道路の走行。
環境保護を目的として、20,000から30,000kmと長い交換サイクルを指定する自動車もあります。酸化等の劣化が進みにくい特性を持つエンジンオイルを指定し、オイル容量を多くすることで、長期間使用できるようにしています。

これらの指定は保証期間内でエンジンに支障をきたさないために自動車メーカーとして定めた最低限の要求であり、オイル自体の劣化は徐々に進んでいます。そのため、メーカー指示値を最大として使用条件により早めに交換した方が良いという意見があります。しかし、現在は製造物責任法により取扱説明書の記述に欠陥がある場合は、製造物の欠陥と同格に扱われることが規定されており、不具合に繋がる危険性を十分に排除した記載が製造者側に求められていることから、指定交換時期は余裕を持って設定されているとの見解もあります。

上記のように自動車メーカーが交換時期を定める一方、一部のオイルメーカーやガソリンスタンド、カー用品店、自動車整備工場等では3,000から5,000kmごとの交換を推奨しています。その根拠として、3,000から5,000km程度走行するとエンジンの機械的な騒音が多少高くなることやオイルが汚れて黒くなることなどを挙げています。この騒音は機構上問題がない程度のオイル粘度の低下が主であり、多少大きくなってもエンジンが故障するものではありません。また、オイルが黒くなるのは清浄作用によるものです。早くて1,000kmほどで黒くなる場合もあり、黒くなって直ちに性能が劣化しているとは言えないです。これら言説では劣化状況の説明として不十分です。他に交換推奨距離を短くする理由として、摩耗防止性能が新油の7 - 8割程度に劣化する距離で設定している場合もあります。

これらの業者により、オイルの特性による正常な現象を故障に結び付く要因として消費者の不安を煽るような表現を用いた交換推奨が行われるのは、頻繁なオイル交換によるオイルそのものの拡販、来店頻度を増やすことによる整備用品拡販・整備業務受注の拡大を狙ったものという批判があります。オイルメーカーは、環境問題への配慮から交換時期を長期化したロングドレインオイルの開発が求められています。学術的研究としては長寿命化に取り組んでいながら、広報上は一般的取扱説明書記載時期よりかなり短期での交換を推奨をするオイルメーカーもあり、そうした不誠実な対応もこの疑惑を強めています。

使用者としては、車種毎に決められたオイル交換時期やシビアコンディションの定義を参考に、油量などの適切な点検を行った上でオイル交換の頻度を決めることになります。

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